アートがいかに身近であるか。

アメリカ・ノースカロライナ州のハイポイントの家具見本市。

まあいろいろ驚くことはありましたが、アートとインテリアが、密接に関係していることが、よーーーーーーーーーくわかりました。

絵がかかっていない家具屋さんはないし、家具屋さんが、一定程度面積を割いて、アートを扱っているのは当たり前でした。そういえば、家具屋さんのカタログにアートがあるのも当たり前です。作家さんが一点一点作るオリジナル品です。

さらに、アートだけを扱っている出店もあります。下の写真は、たぶん家具屋さんだったと思います。

昔話で恐縮ですが、お付き合いください。

1999年、私が記者として長野に赴任した1年目に、ソファを買いました。おしゃべりな私は、先輩との雑談の中で「ソファ買ったんです」と話しました。そしたら、「そんなの買っちゃって、転勤する時どうするの?」と言われて、ポカンとなりました。

だって、ソファは、どこに住んでいても必要な家具なんだから、転勤とか関係ないですよね?

そして、それが届いてみたら、ソファの上が真っ白。「これは大変」と、急いで絵を買いに走りました。ソファの背中が真っ白なんて、ものすごく間抜けな部屋に思ったんです。上半身はバッチリジャケット蝶ネクタイなのに、下はブリーフ?ぐらいの落ち着かなさ。

ズボンは履いていて上半身裸、は、セクシーっちゃセクシー(人による)。でも、逆は冗談抜きで間抜けなだけ。そんな感じです。

そして、またそのことを先輩に話したら、これまた、ものすごく驚かれて「俺も絵がかけられるような部屋に住みたいよ!!」と。私はまたポカンとなりました。「絵をかけられない部屋って何?」と思ったわけです。部屋なんだから、壁はありますよね?なんで壁があるのに絵をかけないの??

しかし今なら理解できます。

駆け出しの記者は、仕事と私生活が一緒くたです。真面目ならばなおさら。カーテンレールには服がかかっていて、だからカーテンは不要なぐらいで、カーテンも幅が足りなかったり丈が足りなかったりして、しかし買いに行く暇も考える暇もなくて、寝床は必要だからベッドはあるけど、あとはテレビとちゃぶ台がある程度で、玄関からベッドまでは、古新聞で埋まっていて、うっすらと「けもの道」がある。。。。。せいぜいそんな部屋だったのだと思うのです。

「絵をかけるような部屋」ではないというのは、そういう意味です。

今回、ハイポイントでは、もちろん家具もたくさん置いてありますが、その壁という壁も、全部飾ってありました。プリントも一部ありましたが、そうでないものも多数。大きさのヴァリエーションも豊富で、洗練されたものも多いですが、「これは、、、ダサいし、そもそも下手ですね?」と思うようなものもあるのです。全体の1割はある。気合い十分な、半年に一度の見本市に、ダサくて下手な絵を出しているのです。ということは、普通のお店には、ダサい絵が半分ぐらいはあるんじゃないでしょうか。

それで、合点がいきました。なぜ、アメリカでは現代アート市場が沸騰するのか。

まず、壁には何かかけるんです。とにかく、最初からかけることになっている。それは全然特別なことではなく、私がソファバックに絵がないのを「大変だ!」と思うような感じで、急いでどっかから絵を買ってきてかけるのです。

のちに、その壁に掛けてある絵が、少しずつ「値打ちのある絵」にかけ変わる。

みんながとりあえず「壁には絵をかける」と思っていて、プリントだろうが蚤の市で買った作者不明品だろうが、絶対に買う。買うとなれば、どんな絵が好きか嫌いか考えます。「僕は絵はわからないよ」なんて言いますが、すなわちそれは「自分がどんな絵を好きなのかわからない」という意味で、なぜなら「選んだことがない」からなのです。

大学生のとき、男の子はやたらと車の話をしていました。でも、みんな庶民の息子なので、せいぜい「カローラナントカがいい」とか「ファミリアがいい」とかいうレベルの話でした。「ランボルギーニがいい」なんて生意気をいう男子はいませんでした。

しかしです。カローラ・フィールダーがいいとか、インプレッサがいいとかミラージュがいいとか、そういうプロダクトで妄想という「選ぶ練習」をして、大人になったらそれらのうちのどれかを手にいれ、さらにその先にベンツとかBMWとかがあって。さらにその先にポルシェやランボルギーニがあるわけです。

「カローラ」や「ファミリア」のうちのどれかを選ぶという妄想は、そもそも車がない地域の人はしない。

「絵をかけるような部屋に住みたいよなあ!!」などと、いつまで言っているつもりだ!と思うわけなのです。部屋には絵をかけるんですよ。

とにかくなんでもいいから「絵を選んで買ってみる」という経験が、日本人には圧倒的にない。これは、随分な差です。「文化的に確かに劣っている」と言われても仕方ない次元かもしれません。

 

そんなわけで、12月11、12日、フジギャラリー新宿では、デコール東京のインテリアデザイナーである飯沼朋子さんによる「建築・インテリア業界人のための現代アートセミナー」を行います。告知から1週間で元々少なかったのですが満席となり、現在キャンセル待ちとなっています。

自分が買うのであれば、自分が好きだと思った絵でいいけれども、仲介者となるインテリアコーディネーターさんはそういうわけにもいきません。何某かの理論武装が必要な場面も多いと思います。セミナーが満席になったのも、おそらくみなさんに求められていた情報だったということかな?と、大変嬉しく思っています。

今回ご参加いただけない方のためにも、また企画したいと思っております。

 

 


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