コートールド展に行ってきました。

東京都美術館で開催中の「コートールド美術館展」に行ってきました。

こういった大規模な企画展は、「クリムト」とか「ルノワール」とか、画家の名前が付いているものが、やはりキャッチーでお客の入りがいいのです。「ボストン美術館展」ぐらいになると、あるいは「MoMA展」のような、美術館自体が観光地として有名な場合はまあまあ人の入りが良いのですが、いかに展示物が有名揃いで具沢山でも、なかなか「プーシキン展」「エルミタージュ展」といっても、ピンとこないのか、人の入りは弱くなりがちなのだそう。

さて。

コートールド・ギャラリーというのは、イギリスにある、絹の紡績工場の息子として生まれ、レーヨン(人絹)で巨富を築いたサミュエル・コートールドさん(1876-1947)の収集品を集めた美術館です。晩年の10年間に、当時まだ評価が定まっていなかったゴーガンやモネ、ルノワール、マネなど印象派・ポスト印象派の作品を集めました。日本にこういった海外の主要な作品群が来るのは、収蔵館の大規模修繕工事の時なのですが、今回もそのためで、普段はほとんどイギリスを出ない主要作品群が日本にやってきています。

インスタエリアに使われているのが、ルノワールの「桟敷席」。

この桟敷席はどこの桟敷席かというと、もちろん大相撲のではなく、「パリ・オペラ座」の桟敷席です。

桟敷席というのはオペラ座の平場ではなく、壁側の細かく小部屋に仕切られた部分の席のこと。

the beautiful interior of grand Opera in Paris France

私もこの種の席でバレエを見ましたが、この席は一番前の席しか基本的に演目は見えない、あんまり機能的とはいえない席です。仕切りが見えますが、それぞれ完全な小部屋になっていて、仕切りごとに奥にドアが付いています。入り口にはコート掛けなどがあり、椅子は普通のサイドチェアが2列、置いてあるだけです。壁も緞子ばりで、それはそれは素敵な空間です。

オペラ座は、今でこそ舞台の下にある平場の席が「鑑賞には良い」席ですが、もともとはここは庶民の立ち見席です。当時のパリピは、バレエやオペラは二の次で、この桟敷席に座って、「お互いがどんなドレスを着てオペラ・ガルニエという社交場に来たか」をチェックしあうことが主眼でした。女性には、高貴な女性もいましたし、高級娼婦もいたそうです。

なので、上演中も、客席がある程度明るいのです。ですので、この「桟敷席」のうしろのおじさんは、上の方を見ていますが、もちろん、舞台ではなく、観客をのぞいているのです。逆に、舞台を真面目に見ている方が、「ダサい」ぐらいの感覚です。

そして、幕間こそが「本番」。

この超絶豪華なホワイエで、

PARIS, france, DECEMBER 22 : An interior view of Opera de Paris, Palais Garnier, Paris Opera house shown on december 22, 2012 in Paris, france

いい女(あるいは裕福な男)を連れて、お酒などをちょっと飲むのですが、そこでおしゃれな格好をして、会釈をしあって行き交うのが、「イケてるパリピ」だったわけなのですね。ちらりとお互いの姿を見せ合って「お見合い」の感触を掴む場所にもなったようです。

ですので、当然トレンド発信地だったわけです。当時の「ファッション誌」でも、よく描かれた場所でした。この女性が着ているストライプのドレスは流行の先端だったんだそうです。

もちろん、オペラ座のバレリーナに個人的に支援をし、リハーサルを裏手のリハーサル室(舞台と同じ広さがある)で見学し、バレリーナに構ってもらうのも、お金持ちの遊びの一つなのでした。日本だと「キャバクラ遊び」「芸者をあげてのお座敷」に似ている感じがしますし、日本で「踊り子」というと、ちょっと悲しいイメージもありますが、バレエの源流は「宮廷バレエ」であり、男性でもダンスが下手だと出世に響く、という都合上、バレリーナは比較的社会的地位が高かったのでした。今のアイドルに近いのでしょうか?

そして、印象派が新しいのは、こういった「風俗」を画題に選んだということです。

絵自体が上手、とかいうことよりもむしろ、

「そこにテーマを見出した君の視点がえらい!」ということなのですね。

コートールドさんは、自分の感性にぴったり来る、流行りの絵を買う際には、部屋に掛けてもらって、長い時間「対話」したのだそうですよ。そういうアートに出会えたら、きっと幸せなインテリアライフになるだろうなと思います。

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