アメリカは田舎?

アメリカの家具です!!と宣言して営業すると、「アメリカの家具ぅ??」と言われることがたびたびあります。私を長く知る人には一様に「原田さんが、ヨーロッパの家具じゃないって、意外」と言われました。

日本のトレンドはイタリアと北欧。アメリカはカントリーなイメージなのですね。

あえてのアメリカです。というか、おそらくそのせいで、人生寄り道しちゃった部分もあるほどです。

 

私の中のアメリカは、ドラマ・映画で見る、大きくて素敵なおうちで、美男美女が素敵な恋愛に明け暮れる、というものでした。だから、中学生までは「大学に行ったら、1年アメリカに留学いたします」と思っていました。

当時は急激に円高が進んでいましたし、バブル景気だったので、高校生のホームステイも珍しくなかったのですが、高校生だと、まだ本人が子供なせいで現地で馬鹿にされ、物置か階段の踊り場のようなところを部屋にされ、無料の子守かメイドのような扱いをされて、苦情が相次いでいる、というような報道がなされていました。それを聞いた私は、高校生で行ってもいいけれど、大学受験前に行くと、卒業月がずれて面倒なことになるし、アメリカ人に不当な扱いをされるのは真っ平だと思っていたので、大学で行く!!と決定しました。仮に大学進学をしない場合は、バレリーナになっていると思っていたので、どの道に進んでも、アメリカ留学は既定路線だったのです。英語ならもちろんアメリカ英語だし、バレエでも、先生が「行くならアメリカ」とおっしゃっていたから。

が、高校生の時、2歳年上のいとこが、1年間、東海岸へホームステイに行きました。その様子を映したビデオを見た途端、私は留学について急速に憧れがなくなったのです。

いとこのホームステイ先は農家でした。それは問題ではありませんでした。

ただ問題は、出てくる人が全員太っていたこと。

いとこ自身も1年で12キロ太って帰って来ました。

ほかの子も、アメリカに行って帰ってくると、びっくりするほど太って帰ってくる。大変少ないサンプルですが、だいたい1ヶ月あたり1キロ太る、という自主統計結果でした。日本に戻ると、驚くべきスピードで元の体型に戻るのですが。そして、ビデオに映るカントリーなインテリアと家具。

全く悪いビデオではなかったのです。とても愛にあふれた、とても良くしていただいているビデオで、そもそも、ビデオを撮ってもらっていること自体、とても大事にされている証です。けれども、どうしても、その太った人々の中に自分が入ることを想像できませんでした。カントリーな家にも。

私の憧れたアメリカと、実際のアメリカ。アメリカには日本の倍以上の人間が住んでいて、生活環境はその都市や所得によって全く違う。どうやら、日本人が思い描くアメリカと、私のイメージするアメリカには乖離がある。両方真実のアメリカには違いないのですが、一般的にアメリカと聞いてイメージする家具は、どうやら「カントリー方面」のようなのです。

不思議です。こんなにスタイリッシュで豊かなアメリカがあらゆるメディアを通じて垂れ流されているのに、日本人のイメージはカントリーに固着したままだなんて。

アメリカは大きな田舎です。いまだにインチとフィートとパウンドを使って、世界の真ん中で威張っています。トランプを生んだ「ラストベルト」ももちろんある。でも、シリコンバレーも、マンハッタンも、ビバリーヒルズも、ボストンもあるんです。家具だって、高級からそうでないものまで、ものすごく懐が深い。

日本だって、東京だけじゃない。大阪も名古屋も福岡もある。北海道はでっかいどう。それと同じです。

ところが、一方で、「アメリカに戦争で負けた」という思いはあるのです。原爆を落とされ、東京大空襲もされた。これもまた「そこ?」と言われるところなのですが、起業に向け、アメリカの家具を売る、と決める際、一番乗り越えにくかったのはそこでした。かつて、あんなに日本にひどいことをした国の家具を入れるの?と。その部分に落としどころをつけるのが、自分の中では一番難しかった。

本当は、日本の材料で(森を守るために木を使うのは大事なこと)、日本に暮らす人が、独自に美しくて絵になる暮らしができたら最高。そのメソッドを、少しの間、アメリカからモノを拝借し、自前でできるようになったらいいなあ。だって、教科書はすでにふんだんにあるわけだから、道具をそろえればできるはずじゃないですか?

そして、それを持って、アメリカに日本の家具と工芸品と美術品を売りつけて「どうだ!!参ったかアメリカ!」と言いたい。それが、本当の目的です。

 


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