豪邸の責任

私は、長年新聞社に勤めていましたので、趣味はありません。記者も編集者も、基本ローテーションで勤務が回っているので、決まった曜日の休みはなく、習い事ができないのです。安くないお給料はほとんど家賃とインテリアに投じ、旅行となると選りすぐりの高級ホテルの、最低スーペリアクラスの部屋に泊まる。たまに友達を誘ってクラシックバレエを見に行って、ホテルのダイニングでご飯を食べる、程度のことです。

そんな私の唯一外さなかった趣味が、「豪邸見学」です。

長野市→兵庫県姫路市→兵庫県芦屋市→名古屋→兵庫県西宮市→東京・勝どき→東京世田谷

と転勤をしてきました。その街一番の邸宅街は見学して回っています。姫路では「新在家」。芦屋はもちろん六麓荘。兵庫・西宮は「目神山」でした。加えて芦屋のマリーナには、「ベルポート芦屋」という、街全体を警備する門番がいて招かれた人しか中に入れない街(ゲーテッドタウン)があり、庭にヨットを係留できる豪邸が並んでいます(多くは別荘地として利用されているらしい)。

名古屋も、徳川園周辺は、立派なお宅が多く、外構や外壁、その他あらゆる点でスキなく無駄なく目が行き届き、お金がかかっていました。東京に転勤した時は、まず田園調布と成城学園の周辺を車で回り(ほとんど不審者)、さらに神奈川の披露山の邸宅街を回りました。

私がなぜ豪邸を見て回るかというと、日本の住宅事情のトップを担うのが「豪邸」であり、そこが正しく美しく作られ、維持されていれば、いつか日本全体の住宅事情に正しい影響を及ぼすと思っているからです。ある意味「羅針盤」。だから、お金持ちで豪邸を作る方は、正しい家とインテリアを作って職人や技術・デザイナーを身銭を切って育てる責任を負っていると、私は思っています。

家は景観をつくります。景観はみんなのものです。自分の家が良ければそれで良いのではなく、街路樹を管理し、外壁が汚れていれば洗い、庭を整える。

「迷惑をかけない」といった後ろ向きの意識ではなく「街全体をよりよくしていく」という前向きな姿勢が、住まい全体をよくしていくのだろうな、と思います。

 

 


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